「デッドリフト」「スティッフレッグ・デッドリフト」「ルーマニアン・デッドリフト」の違い | 筋トレ情報室|筋トレ学園

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「デッドリフト」「スティッフレッグ・デッドリフト」「ルーマニアン・デッドリフト」の違い

デッドリフトには、ノーマルなデッドリフト、スティッフレッグド・デットドリフト、ルーマニアン・デッドリフトなどが存在する。
他にも、スモウ・デッドリフトなどがあるが、ここでは微妙な違いから分かりづらい、上記3つのデッドリフトについて比較してみたい。

上級者の方は復習に、初心者の方はここで違いを確認し、種目を選定する上で役立てていただきたい。

なお、関節の動きとしてはスクワットに似ており、スクワットがバーを担いで行うのに対し、デッドリフトは下に持って動作する。
ただ、デットドリフトはスクワットよりも股関節の動作を強調したトレーニングであり、股関節伸展筋への刺激が強くなる。

以下でそれぞれの動作や筋ターゲット、共通点などを比較する。

デッドリフト (ベントレッグ・デッドリフト)
一般によく耳にするノーマルなデッドリフト
【ターゲット】
脊柱起立筋・ハムストリングス(※1)・大殿筋・大腿四頭筋(※1)
(※1)大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋の総称。
(※2)大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋で構成される。
【特徴】
◆ハムストリングス・大腿四頭筋・大殿筋・脊柱起立筋の強化を目的とする。
◆バーを下に持って行うスクワットの一種。
◆スクワットよりも広背筋、菱形筋、僧帽筋の関与が大きく、全身の筋肉を連動させたエクササイズ。バーを把持する(握る)ための前腕の筋肉も動員する。
◆スクワットよりも前傾姿勢となるため、股関節周りの負荷が大きくなり、より脊柱起立筋に強力に効く。(筋肉のアイソメトリック収縮と引き上げた際のわずかなコンセントリック収縮による)

【スタートポジション】
1.脚を肩幅に開き、両足の外側をオーバーハンドグリップで握る。
明確な基準はないが握りの目安としては、重量100kgまではオーバーハンドグリップ(てのひらが内側を向くに握り)、100kg超でオルタネイトグリップ(左右で手が逆の向きになる握り)で握る。
※重量に関係なく、オルタネイトグリップで握るように指導する場合もある。

2.立ち姿勢では、肩甲骨を寄せ(※1)、背中は自然なS字カーブを描くようにする。(胸を張り、背中をまっすぐに伸ばすイメージ。腰(股関節)は前に突き出さない)。

【動作】
1. 背中のS字カーブの維持と肩甲骨の寄せを意識したまま、お尻を突き出しようにして股関節を曲げ、同時にひざを曲げていく。
2.下降動作中、バーは脚の近くを沿わせ、離れていかないようにする。
背中は動作を通じて自然なS字カーブを保つ。(=腰を過度に反ったり、背中が丸まらないようにする)
3.太ももが床と平行になるか、バーベルが床に触れたらバーを引き上げ体勢に移る。
4.股関節とひざを伸ばしながら(伸展させながら)バーを引き上げ、スタートポジションに戻る。
直立すると同時に肩甲骨を寄せて終了。

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※1
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肩甲骨の寄せに関しては、バーベルの重量により下降局面で肩甲骨に広がろうとする力が働く。そのため、一定の範囲で広がっていこうとするが、寄せる意識は保ち続ける。力が抜けて完全に肩甲骨が外側に広がってしまうと背中が丸まり脊柱に過度のストレスが生じ、傷害の危険性が高まるため、この意識はしっかり保っておいてほしい。
この肩甲骨の寄せを意識することで、僧帽筋、広背筋、菱形筋の強化にも効果的なエクササイズとなる。
また、S字カーブを保持するために腹圧(お腹に力を入れる)を高めることで腹筋群の強化も可能となる。
さらに重量のあるバーベルを把持することで前腕の筋肉が強化れる。
まさにキング オブ エクササイズである。
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【共通の注意点】
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傷害の危険を回避するため、動作中に背中や腰部が丸くなってしまった場合や丸くなってしまいそうになったら、目標回数前でも動作を中止する。
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元の姿勢に戻ったときに注意すべきことは、直立になった際に過度に腰を前に突き出して(過伸展による腰椎前弯)しまわないことである。股関節を前に突き出すと弓なりになった脊椎(いわゆる背骨)が不安定になり、大きなストレスがかかり障害を引き起こす可能性を高める。
そのため、傷害予防のため、腹圧を高め、背中、腰を真っ直ぐに保ち(S字カーブを保った自然な直立姿勢)、背中?腰を反らさないように注意する。
脊椎に大きなストレスがかかると椎間板ヘルニアを誘発する危険があり、腰椎靭帯や胸部脊柱筋膜に損傷を与える場合もある。

なお、直立時に肩甲骨を寄せる際には腰椎がわずかに前弯するが、これは脊柱起立筋の短縮性収縮を引き起こし、脊柱起立筋への刺激となるため、トレーニング効果として有効な範囲である。
あくまで、過度に腰を前に突き出してしまわないように注意してほしい。

ただし、トレーニング上級者がさらなる脊柱起立筋群の強化を目指す場合、あえて背中を反らす(過進展させる)ことで背部の収縮を大きくすることがある。
しかし、通常は、初心者に奨められるものではなく、実施する場合は、トレーナー指導下で実施しなければならい。

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スティッフレッグ・デッドリフト
(ストレートレッグ・デッドリフト)
【ターゲット】
脊柱起立筋・ハムストリングス(主に大腿二頭筋の上部)・大殿筋
【特徴】
◆ひざをほぼ伸ばした状態で動作する。
◆股関節伸展筋群、腰背部が強力に刺激される。
◆大腿二頭筋など股関節伸展筋群の柔軟性向上エクササイズとしても役立つ。この場合、比較的軽い重量で実施する。
◆比較的怪我のリスクが高いため、初心者には奨められない。
実施する場合は、指導者の下で行うか、スティッフレッグ・デッドリフトの替わりにルーマニアン・デッドリフトを実施する。

【スタートポジション】
1.脚を肩幅に開き、両足の外側をオーバーハンドグリップで握る。
グリップ位置の目安は、肩幅または足幅よりも親指一本分外側。
2.立ち姿勢では、肩甲骨を寄せ、背中は自然なS字カーブを描くようにする。(胸を張り、背中をまっすぐに伸ばすイメージ。腰(股関節)は前に突き出さない)。

【動作】
1. 背中のS字カーブの維持と肩甲骨の寄せ(※1)を意識したまま、股関節を曲げ、上体をゆっくりと倒していく。
また、上体を倒すと同時にごくわずかにひざを曲げその角度を固定する。

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ごくわずかとは、ロックした状態(膝がピンと伸びた状態)ではなく、一見すると真っ直ぐに見えるが、わずかに曲がった角度。
ルーマニアンデッドリフトのように明らかに曲げない。
伸ばし切った状態で行うと、ハムストリングスに大きなストレスがかかり、筋損傷の危険性が高まるためである。
また、ゆっくり下ろすことで急激な筋の伸張を防ぐことができ、傷害の危険性を減少させることができる。
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3. 下降動作中、バーを脚に沿わせるイメージでできるだけ脚から離れていかないようにする。
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重心位置の影響で、どうしてもデットドリフトやルーマニアン・デッドリフトよりもやや脚から離れていってしまうが、大きく離れないように意識して動作する。
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一方、背中が床と平行になった際、バーが肩の真下にくる形で指導する場合もあるが、下背部とハムストリングスに強力なストレスがかかるため、上級者や指導者監督のもと実施するのが好ましい。
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4. 背中が床と平行になるところまで、上体を倒し、下降動作終了。

5.股関節と脚を伸ばしながら(伸展させながら)バーを引き上げ、スタートポジションに戻る。
直立すると同時に肩甲骨を寄せて終了。
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下降途中でハムストリンスに大きな張りが出でひざを曲げざるを得ない状態になったとき、あるいは背中のS字カーブが崩れ、背中や腰が丸まりそうになったところで下降動作を終了させ、引上げ動作に移る。
このような状態になった場合、傷害の危険が高まるためである。

ハムストリングスの張りに関しては、柔軟性を高めることで改善できる。改善の結果、より深く下ろすことができるようになる。
また、スティッフレッグ・デッドリフトを軽い負荷(例えば、バーのみ)で行い、下降してハムストリングスに張りを感じたところで、その姿勢をしばらく保持することで、柔軟性向上に役立つトレーニング(ストレッチ)にもなる。

S字カーブの崩れは、重量が重すぎる場合に発生することが多く、重量を軽くすることで、よりS字カーブを維持できるようになる。
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現在、傷害の危険が増すことからスティッフレッグ・デッドリフトを実施することは少なっており、下背部を強化するトレーニングとしては下記のルーマニアン・デッドリフトが奨められる。

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ルーマニアン・デッドリフト
【ターゲット】
脊柱起立筋・ハムストリングス・大殿筋
【特徴】
◆フォームとしては、ひざの角度以外は「スティッフレッグ・デッドリフト」と同様。
◆スティッフレッグ・デッドリフトに対し、腰背部、ハムストリングスの怪我のリスクをひざを曲げることで低減。
◆脊柱起立筋を主とした腰背部の強化を目的とする。
◆近いトレーニングとしては、「グッドモーニングエクササイズ」がバーベルを担いで行うのに対し、「ルーマニアン・デッドリフト」は、バーベルを手に持って行う。

【スタートポジション】
1.脚を肩幅に開き、両足の外側をオーバーハンドグリップで握る。
グリップ位置の目安は、肩幅または足幅よりも親指一本分外側。
2.立ち姿勢では、肩甲骨を寄せ、背中は自然なS字カーブを描くようにする。(胸を張り、背中をまっすぐに伸ばすイメージ。腰(股関節)は前に突き出さない)。

【動作】
1. 背中のS字カーブの維持と肩甲骨の寄せ(※1)を意識したまま、股関節を曲げ、上体をゆっくりと倒していく。
また、上体を倒すと同時にひざを曲げていき約15度に達した時点でひざ角度を固定する。(オーソドックスなデッドリフトのようにしゃがみこまない)

3. 下降動作中、バーが脚から離れていかないように脚の近くに沿わせて下ろしていく。

4. 背中が床と平行になるところまで、上体を倒し、下降動作終了。
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スティッフレッグ・デッドリフトよりは、腰背部やハムストリングスにかかるストレスが高くないが、スティッフレッグ・デッドリフトにあるように同様の事象が発生した場合は、下ろし切る前でも動作を終了させる。
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5.股関節と脚を伸ばしながら(伸展させながら)バーを引き上げ、スタートポジションに戻る。
直立すると同時に肩甲骨を寄せて終了。

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股関節伸展筋群にフォーカスすると同時に、動作中のアイソメトリック及び直立時のわずかなコンセントリックにより脊柱起立筋の強化を目指す。
動作中、脚を約15度(あるいはクォータースクワット程度の角度)に曲げて行う。
下ろす時は、股関節を起点に動作を行う。
挙げるときは、股関節とひざを同時に伸ばす。膝から伸ばさないように注意する。

バーを脚、腰、体幹の近くに保持し、動作する。(体に沿わせるイメージ)

グッドモーニングエクササイズをバーを下に持って行うエクササイズと考えても良い。

■スタートポジションの位置づけ
パワーリフティング等の競技では、床に置いたバーベルを握りポジションを取った姿勢がスタートポジションとなるが、一般トレーニングおいては、ラックからバーベルを外してからの動作(スクワットでラックからバーベルを外し、直立姿勢からスタートするのと同様の考え方)も多いため、便宜上、直立姿勢をスタートポジションとして統一する。バーベルを床に置いている場合は、デットリフトの要領で一度立ち上がってスタートポジションとする。
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